プロテオグリカン商品戦略
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ビジネス|プロテオグリカン商品戦略

プロテオグリカン商品戦略

ダイドードリンコヘルスケア事業部 企画開発グループリーダー
原田清佑氏

「プロテオグリカンの多様な機能に着目した商品開発を強化する」
ダイドーのヘルスケア事業のカギを握るプロテオグリカン

「プロテオグリカン・ビジネスフォーラム2019」(主催:角弘プロテオグリカン研究所、一丸ファルコス)が2019年12月3日に開催された。企業講演では、ダイドードリンコヘルスケア事業部企画開発グループリーダーの原田清佑氏が「プロテオグリカン商品戦略」と題して講演した。

世代を超えて親しまれるダイドーブレンドコーヒー

講演冒頭で原田氏は、ダイドーグループの企業理念やビジョンを提示し、ブレンドコーヒーに代表される同社の歩みを紹介した。「ダイドーグループは、飲料・食品を提供する事業会社としてこころとからだにおいしいものを届けている。顧客、社会、次世代に関わる全ての人への貢献をビジョンに掲げる。代名詞はダイドーブレンドコーヒー。1975年に最初のデザインが登場し、世代を超えて広く親しまれている。消費者の嗜好に合わせ、商品ラインアップを多様化し、コアビジネスとして展開してきた」(原田氏)。

同社の基盤となるのが自販機事業である。73年に卓上自販機で缶コーヒーの販売を開始。77年にホットとコールドに対応した自販機を開発し、自販機の全国普及を後押しした。その後、省エネ対応、IoT対応などの新型自販機を開発(図1)。2018年度の実績として、全国27万台の自販機を保有している。自販機の進化を支えるだけでなく、災害時に飲料提供するなど、社会インフラとしての機能も備えている。

図1

ヘルスケア事業への参入

飲料事業を柱に事業拡大を進めてきたダイドーは、2019年度にグループミッションを策定。2030年に向け、「非飲料事業における収益確立」を目標として掲げた。そのカギを握るのが、ヘルスケア領域における事業構築である。あまり知られていないが、ダイドードリンコのルーツは1917年に創業者である髙松冨男氏が始めた配置薬の行商にある。ヘルスケア事業にも、そのような創業者の意志が受け継がれている。

「2012年にサプリメントで通信販売事業に参入。売り上げは年々拡大し、18年に黒字化を達成した。そのけん引役が、プロテオグリカンをメイン素材とした『ロコモプロ』だ(図2)。角弘、一丸ファルコスから提供された高品質のプロテオグリカンと、弘前大学を中心に構築されたエビデンスをベースに、テレビや新聞、Webなどでユーザー開拓を促進。顧客に寄り添った信頼関係づくりにも注力し、『あおもりPG』認証商品として、15年7月から売上1位を記録している。少量摂取で十分なので形状を小さくでき、高齢者でも飲みやすい点などが評価されている」(原田氏)。

図2

プロテオグリカンの多様な機能に着目した商品開発

「人生100年時代を迎え、セカンドライフの重要性がますます高まっている。日常生活の基盤となる『いきいきと歩くこと』を支援する商品として『ロコモプロ』を位置付け、補完する商品を展開していく。メタボリックシンドロームや認知症や疲労、排尿障害などの関連商品を提案する。一人の顧客が接する商品群を増やすことでライフタイムバリューを高め、長期的な関係を構築していく」(原田氏)と意気込む。

プロテオグリカンの抗肥満作用に着目して弘前大学との共同研究を行った。プロテオグリカン、ブラックジンジャー抽出物、生コーヒー豆エキスを独自処方しマウスに経口投与した結果、肥満抑制作用を確認した(図3)。同成果を基に、「日常生活時、脂肪を消費しやすくする」機能性表示食品として「スマートプロ」を2019年5月に商品化した。

民間のマーケット調査によると、「プロテオグリカン市場は、2021年には12年比で577%成長するとの予測がある(図4/P26)。既存商品を改良し、売り上げを引き上げるだけでなく、プロテオグリカンの多様な機能に着目した商品が求められる。顧客の課題に対し、本質的な解決につながるアイデア・仮説を導き、製品として実証していく。大学や企業とのコラボテーション、他素材との組み合わせなどを含め、スピード感をもってプロテオグリカンの商品開発をリードしていく」(原田氏)と展望する。

図3

図4

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