藤井:PGは、導入初期には、美肌効果を持つ化粧品、そして次に膝関節を中心としたサプリメントとしての利用が着実に拡大しています。機能性素材として、美容、健康の両面の効果を持ち、将来的には医薬品としての可能性も見えてくるなど、とてもユニークなポジションを確立しつつあると思います。多くの健康素材、サプリメントなどを扱っているナショナルブランドメーカーの立場から、PGの可能性をどのように見ていますか。先ず、サントリーさんからお考えをお聞かせいただけますか。
▲モデレーター:日経BP総研メディカルヘルスラボ所長 藤井氏
柴田:サントリーウエルネスでは、美容ドリンク「リフタージュ」を中心にPGを配合していますが、本日のアカデミアの先生方の発表などもお聞きして、あらためてPGは、今後の健康・美容市場をリードするような大型の素材になるということを実感させられました。健康食品メーカーの責任として、PGに対する市場の盛り上がりを一過性のブームに終わらせることなく、じっくりと育てていきたいと思います。
さて、PGの可能性ですが、その一番のポイントは効果が体感できることです。体感をベースに着実に市場を広げているPGの成長を見ていると当社の主力商品であるセサミンの成長プロセスにとても良く似ているという感想を持ちました。
セサミンも市場導入時には、PGと同様に、市場の客様に対する認知は全くなかったことから認知・理解を広げることに多くの努力を要しました。しかし、PGの場合は、青森県、三村知事をはじめ地元の皆さんの支援のもとで、着実に認知を広げ、市場を開拓されてきました。今では健康・美容、そして腸内環境にも効果があるなどマルチな機能性をもつ優れた素材であることもわかってきました。こうした可能性を我々のお客様にどのようにしっかりと伝えていくのかが、メーカーとしての課題だと考えています。
▲サントリーウエルネス 柴田氏
原田:ダイドードリンコでは、膝関節のケアをコンセプトにした、主力商品である「ロコモプロ」にPGを配合しています。人生100年時代を迎え、エイジングケアに対応した素材が求められています。今後は、病気になる前の予防やセルフケアの重要性に対する認識が高まり、超高齢化社会の日本で新たな健康文化が培われていくのではないかと考えています。PGはそうした時代の中心に位置づけられる素材ではないでしょうか。というのもPGはごく少量で多様な機能をもち、生活習慣病やロコモ対策など加齢に伴って生じてくる様々な問題に根本的に対応してくれる可能性がある素材だと考えるからです。
▲ダイドードリンコ 原田氏
藤井:日経ヘルスの取材や編集を通じて、様々な健康・美容素材をこれまでに見てきました。その中でその素材が大きく成長するかどうかは、消費者のリピート率が重要な指標になるのではないかと考えています。
PGを使った商品のリピート率はどうでしょうか。
高橋:当社(マキュレ)は、地元でPGを配合した青汁を製品化して通販チャンネルを通じて販売しています。この商品のリピート率は、90%に達しています。通常、通販の商品は、3ヵ月継続するとそこで一段落するものなのですが、PGの商品については違いますね。購入者の方がたぶん体感をもたれているからだと思います。
▲マキュレ 高橋氏
少量で体感が得られリピート率が高い
三浦:当社(ラビプレ)は、PGを配合した化粧品ラインを商品化して、通販チャンネルを通じて販売していますが、高橋さんが述べられたようにリピート率は大変高く、購入された方の半数以上はリピートしていただいています。
櫛引:カネショウでは、PGを配合した、飲むリンゴ酢「女神の林檎酢」を商品化しています。この商品は、健康食品ではなく、嗜好品として販売しているので、リピート率をそんなに意識してはいないのですが、通販チャンネルに限っていうと、やはり購入された方の半数近くはリピートしていいただいているのではないでしょうか。
原田:当社でも、リピート率の高さを実感しています。詳しい数字は申し上げられませんが、リピート率の高さは、通販チャネルで販売している健康食品の場合、最も重要なポイントです。さらに付け加えれば、PGの場合、他の素材に比べ少量でその効果が実感できるというのがポイントだと思います。
藤井:皆さん、ありがとうございます。実際にPGを配合されて販売されている事業者の皆さんのご発言から、PGは、少量でも効果が体感できる素材だということを確認できたと思います。
さて、健康・美容分野の商品を育成していく上でもう一つ重要なポイントになるのがブランドストーリーです。あおもりPGブランド推進協議会の会長のお立場から櫛引さんにPGのブランドストーリーについてご説明いただけますか
▲カネショウ 櫛引氏
あおもりPGマークの信頼感
櫛引:青森では地元で獲れる鮭の鼻軟骨を酢漬けにした「氷頭なます」という郷土料理があります。この「氷頭なます」からヒントを得て、弘前大学の故高垣教授が、PGの酢酸抽出法というのを開発され、それまで1gあたり3000万円ともいわれた高額な稀少素材であったPGの量産化の道を開かれました。
青森の人たちは「氷頭なます」を食することを通じて、自然とプロテオグリカンを摂取していたということになるわけで、青森に美人が多いといわれることの要因ではないかと密かに考えています(笑)
原田:当社の「ロコモプロ」のパッケージには、あおもりPGの認定マークを大きく表示させていただいています。弘前大学を中心に積み重ねられてきたこれまでの研究成果、三村知事のリーダーシップのもとで青森県もバックアップされていること、また、地元企業の皆さんもこの素材を盛り立てていこうという姿勢が、このマークに集約され、オーソライズされたメッセージになっていると考えているからです。このマークの存在により当社の製品に対する信頼性も高まると期待しています。
藤井:林さんは、外資系化粧品会社の薬事担当として長く活躍され、あおもりPGのアドバイザリー委員として、主に地域コスメの開発支援を行っておられます。その立場からPGのブランドストーリーにとって必要なことは何でしょうか?
林:櫛引さんがおっしゃるように、東北の女性は肌がきれいです。そうした観点から地域の化粧品として訴求していくことも大切ですね。実際にPGを配合した地域コスメも最近、続々と生まれてきています。
ただし、PGを化粧品の分野で更に花開かせていくためには、市場を牽引するような強いメッセージを持ったスター商品が必要です。
例えば、美肌の分野では、シワやたるみ改善が大きなテーマとなっています。PGは、この面でもエビデンスをもっているので、こうした分野で大型の商品を開発していくことが必要だと思います。
▲PGアドバイザリーボード委員 林氏