2024.03.30
「日本薬学会 第144年会(横浜)」にて発表 ②
一丸ファルコス株式会社は、2024年3月28日よりパシフィコ横浜にて開催された日本薬学会 第144年会にて、以下の発表を行いました。
【発表タイトル】
アントリシンとヤテインを含むジュニパーベリーエキスはプロテアソームとオートファジーの活性化を誘導し、ヒト表皮細胞内の老廃物であるリポフスチンの蓄積を抑制する
【発表要旨】
近年、創薬ターゲットに結合することでその機能を直接的に制御する従来の創薬手法に加えて、創薬ターゲットをタンパク質分解系であるプロテアソームやオートファジーに誘導して分解させることで制御する新たな創薬手法(タンパク質分解誘導薬)の開発が進んでいる。このようなタンパク質分解系の活用は、創薬だけでなく、化粧品分野でも注目されている。例えば、加齢に伴うプロテアソームやオートファジーの活性低下は、細胞内における機能を終えたタンパク質や変性したタンパク質の分解を遅らせ、最終的には過酸化脂質、糖、金属と共に凝集したリポフスチンと呼ばれる細胞内の老廃物の蓄積につながる。リポフスチンの蓄積は、肌の明るさ(透明感)を低下させ、老人斑と呼ばれるシミの原因になることが知られている。これらの背景から、肌の明るさを改善する化粧品開発を目的として、タンパク質分解系を活性化する機能性の天然由来原料の開発が求められていた。我々は、380種類の天然物由来のエキスをスクリーニングし、プロテアソームとオートファジーを活性化させるジュニパーベリー(ヒノキ科セイヨウネズ果実)エキスを見出した。さらに、ジュニパーベリーエキスの活性成分同定を試みた結果、ヒノキ科の植物に含まれることが特徴であるリグナン類に属するアントリシン(別名デオキシポドフィロトキシン)とヤテインがプロテアソームとオートファジーを活性化する成分本体であることを見出した。これまで、リグナン類がオートファジー活性化に関わることは報告されていたものの、プロテアソーム活性化に関わることは報告されていなかった。ここでは、ジュニパーベリーエキスから活性成分を同定した工程、アントリシンとヤテインによるプロテアソームとオートファジーの活性化、さらにジュニパーベリーエキスを含む乳液の塗布によるヒト肌の明るさ改善効果、シミ減少効果、毛穴縮小効果について発表する。これらの結果は、プロテアソームの活性を制御するアントリシンやヤテインといった新たなケモタイプを提案するだけでなく、創薬・化粧品分野におけるそれらの活用の可能性を示すものである。
【発表詳細】
日本薬学会 第144年会(横浜)
○ 開催日:3月 28日(木) ~ 31日(日)
○ パシフィコ横浜
○ 一般ポスター発表 (A) 化学系薬学
[30P-pm] 生薬学・天然物化学④
2024年3月30日(土) 13:30 〜 17:00 [ポスター会場] 展示ホールAB (1F)
【関連リンク】 日本薬学会 第144年会 ホームページ