地域コスメブランドの開発が加速
プロテオグリカンの地域商品の開発は、地元産のリンゴ酢などに配合した土産品からスタートしたが、ここ数年の間に地元企業の間で青森の地域コスメブランドを開発する動きが加速している。
▲ ラビプレ三浦社長
弘前大学のインキュベーション施設に入居し、化粧品開発をミッションとして起業したのが、(株)ラビプレの三浦和英社長。
「何か地元青森に貢献できる事業をしたいと考えていたところでプロテオグリカンに出会った。化粧品素材としての可能性を確信して商品づくりに着手した」(三浦社長)。
三浦氏の実家は、社会福祉事業を営んでおり「障がいを持つ人々を雇用できるような“売れるもの”を企画したい」という思いも起業の動機になったという。
▲ ラヴィプレPGシリーズ
プロテオグリカンを配合して開発した最初の商品が「ラビプレ」(La Vie Precieuse:フランス語で大切な命の意味)。この商品のブランドロゴは、弘前在住の右半身に障がいを抱えながら、NHKのハート展入賞実績を持つ、弘前在住の女性が墨文字で書き上げたという。
三浦社長は、弘前城の桜まつりなど地元で開催されるイベントなどに出展し、来場者ひとりひとりに商品を手渡すような地道な販売活動を行い、徐々にファンを獲得していった。「一度使っていただいた方は、必ずリピーターになってもらえるのがこの商品の強み」とプロテオグリカンの力を強調する。ラビプレでは、更にプロテオグリカン、リンゴ由来のセラミド(APセラミド)、津軽甘草エキスを配合した現行商品の上位ラインになる「ラヴィプレシューズ APGライン」(写真)を発売。地域コスメとしてのブランド確立を目指す。
▲ ラヴィプレPGシリーズ
ラヴィプレシューズAPGライン
プロテオグリカンの美容素材としてもうひとつの特徴は、経口摂取による美容効果が期待できる点だ。プロテオグリカンの「肌のたるみ」改善効果に着目して開発されたサントリーウエルネスの美容ドリンク「リフタージュ」は、通販商品として購入者が45万人を超えるヒット商品になっている。
▲ マキュレ 高橋社長
飲む美容・健康素材としての可能性に着目してプロテオグリカンを配合した青汁「AO+」を開発したのが(株)マキュレの高橋裕孝社長。高橋社長は、地元のリンゴを乾燥させたチップスやリンゴ茶の製造・販売をおこなっているが「リンゴだけでなく、地元にはプロテオグリカンのような素晴らしい素材があるということに気づき、ぜひやってみたいと県に相談して、商品開発に取り組んだ。試行錯誤の末ようやく商品が出来上がったが、顧客の評判は上々」と語る。
青汁というと中高年男性が野菜不足を解消するために飲むというのが従来のイメージだが、女性が美容ドリンク感覚で毎日飲み続けられることを開発コンセプトにした。
▲ プロテオグリカン配合青汁「AO+」
「驚いたのは、リピート率。地元青森の素材ということもあるが、購入者の大半がリピーターになってくれる」と高橋社長もプロテオグリカンの素材の力を実感している。(株)マキュレでは、既にプロテオグリカンを配合した化粧品も開発しており、今後、販売活動を強化していく予定だ。
スター商品を育成し世界を目指せ
▲ あおもりPGアドバイザリーボード林委員
あおもりPGアドバイザリーボードの林志津子委員は、プロテオグリカンを核に地域の美容関連企業が育ってきていることを「とても好ましい動きであり、今後とも支援していきたい」と歓迎する。しかし、一方で課題も見えてきたという。
「コスメの領域で更に大きな市場を狙うなら、シワ改善、たるみ改善など既に得られているエビデンスをもとに、新しい市場にチャレンジしてほしい」とプロテオグリカンの可能性を改めて指摘する。
林氏は、長年、フランスのコスメ企業でグローバルブランドの育成に関わった経験から、「市場を立ち上げるためには、プロテオグリカンといえば、コレ!といったスター商品を育成することが必要。プロテオグリカンの潜在力を生かせば、世界を目指せる」とエールを送る。