「あおもりPG」から生まれる地域発ヒット商品
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ビジネス|「あおもりPG」から生まれる地域発ヒット商品

「あおもりPG」から生まれる
地域発ヒット商品

あおもりPG推進協議会会長
カネショウ社長 櫛引氏

プロテオグリカンは平成12年に弘前大学が抽出技術を確立したのを機に事業化が進められ、平成24年以降、サントリーウェルネス、ダイドードリンコといった大手メーカーの採用が相次ぎ、コラーゲン、ヒアルロン酸、コンドロイチン等と並ぶ大型の健康素材としての成長に期待が集まっている。

大手メーカーの採用で全国的にも知名度を得て成長軌道に乗ったといわれるプロテオグリカンだが、青森発の地域素材としてあらためて推進しようという動きが地元で活発化してきた。

素材のブランディング活動を展開

プロテオグリカンは、鮭の鼻軟骨という地域素材から弘前大学が抽出技術を開発し、地元企業の角弘が抽出・製造を担った地域発の健康素材だ。平成23年には、青森発のプロテオグリカンの認知度向上と信頼性の獲得を目的に、地元企業が参加する任意団体・青森県プロテオグリカンブランド推進協議会が設立された。平成28年には、その活動を引き継ぐ形で一般社団法人「あおもりPG推進協議会」が設立され、「あおもりPG(プロテオグリカン)」認定マークを一定量使用している製品に付与するという、素材のブランディング活動を展開してきた。

「大手メーカーがプロテオグリカンを採用したことで、むしろ県外での知名度の向上が先行した。地元の企業もがんばらなくてはならないが、一過性のブームに安易に乗るようなことはしたくない」と語るのが、弘前で代々続く醸造会社カネショウの社長で、あおもりPG推進協議会の会長をつとめる櫛引利貞氏だ。

化粧品や食品に利用しやすいプロテオグリカンの原料素材を角弘と一丸ファルコスが供給を始めた時期には、地元の企業でも様々な商品にプロテオグリカンを配合する動きが見られた。

地域発のヒット商品をつくる

「当初は、とりあえず何にでも入れて見て、土産品として売り出すというような、安易な商品開発の姿勢も見られ、ヒット商品がなかなか生まれてこなかった」(櫛引社長)。カネショウでは、リンゴ酢にプロテオグリカンを加えた「女神の林檎」(写真)を発売し、ロングセラー商品に育っている。

▲カネショウ:女神の林檎

「プロテオグリカンの知名度は上がったが、PGを配合すれば売れるなどと考えては大間違い。地元企業は商品づくりにもっと真摯に取り組む必要がある」と櫛引社長は指摘する。

ヒット商品づくりには、ターゲット・市場、商品コンセプト・デザインそして販売方法などを一体のものとして開発するマーケティング力が不可欠だ。地道な商品開発の姿勢が求められるわけだが、カネショウが、「女神の林檎」に続く新商品として発売したのが「青森SWITCHEL(スウィッチェル)」。

スウィッチェルとはリンゴ酢に蜂蜜、生姜を加えてつくられる添加物・砂糖不使用のナチュラルドリンクで、健康・自然志向が支持を得て、米国やヨーロッパの健康美容志向の高い女性に、スムージーに続く飲料として人気を呼んでいるという。

「新しい美容・健康飲料としてスウィッチェルが日本でもこれから人気になると思います。ブームが来た時に青森のリンゴ酢とプロテオグリカンで作られたスウィッチェルが国内市場をリードし、将来的には、ブームの発祥地である欧米市場にも展開できたらすばらしいですね」と櫛引社長は将来の夢を語ってくれた。


▲ 新製品「あおもりSWITCHEL(スウィッチェル)」

スイーツの分野でもユニークな商品が

食品の分野でもユニークな商品が登場している。青森県平川市にある「津軽おのえ温泉 福家」を経営するタグボート株式会社(本社:青森県平川市、水口 清人社長)は、「ドルチェようかんワイキューブ」を今年の4月から楽天ショップなどで全国に向け販売を開始した。温泉施設に滞在する女性客から「福家オリジナル和スイーツを開発してほしい」という声が寄せられたことをきっかけに、研究開発に1年かけて商品化にこぎつけたという(写真)

 

羊羹の概念を変えるようなキューブ型で「食べるだけでキレイを目指せる」をコンセプトに食物繊維が豊富な寒天ベースの羊羹にプロテオグリカンを配合している。

商品パッケージのデザインは宮城大学のゼミの学生たちと共同で開発し、地元青森県出身の学生の提案が採用されている。こうした地域が一体となった開発姿勢と商品企画が評価されて、ドルチェようかんワイキューブは、第5回メイドインジャパン・ビューティーアワード(UBMジャパン主催)の優秀賞を受賞した。

(文:テクノアソシエーツ加藤芳男)

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